2015年6月2日火曜日

和楽器鑑賞会~金子純恵先生をお迎えして

 6月に入りました。早くも一学期折り返しです。毎日暑く、朝や休み時間、帰りと、外に出るとすぐにシャツの中で汗が流れてくる日々です。が、カラチ日本人学校の子どもたちはますます元気に勉強に運動にがんばっています。

 6月1日月曜日は和楽器鑑賞会でした。箏と三味線の大家で、ジャズの要素を取り入れながら曲作りも行い、世界各国に招かれての文化交流活動も精力的に行われている金子純恵先生をお迎えしての2時間でした。箏と琴の違い、箏の歴史、箏の部位の説明から始まり、「六段調」「鳥のように」の演奏。「序」「破」「急」のリズムの変化を教えてもらい、確かにその通りにどんどんスピードが速くなり静かに終わると、「おおー」と感心したような声が自然と漏れ聞こえてきます。左手で弦を押さえて音に変化をつける「六段調」。左手でハープのように弦をはじく「鳥のように」。時代とともに曲調、さらに箏の技術の変化と、それを前提とした曲そのものの変遷を説明してくださいました。

 さらに三味線の演奏に移ります。猫や犬の革を使うという説明に、ちょっと意外な表情の子どもたちでした。「鷺娘」の演奏は唄と三味線の両方で行われました。箏とは違う雰囲気に、子どもたちも大人たちも引き込まれました。唄の主人公である鷺娘の悲しみ、そして悲しみが怒りに変わるというストーリーが、確かに曲調の変化に表現されています。唄と演奏のテンポが速くなり、大きな音になると、みんなより演奏にぐぐっと引きつけられます。演奏が終わってから、演奏したのは曲の一部で、「鷺娘」全体では30分の曲であると聞いて驚いたみんなでした。

 最後は本校のドライバーでタブラという太鼓の名人ウイリアムさんと金子さんの箏による、「さくらさくら」の合奏でした。詩を黒板に書いてもらって、みんなで歌いながら演奏を楽しみました。箏とタブラの音はしっかり調和していて、歌っていても大変心地よい瞬間でした。最後は質問コーナーでしたが、大人の方が興味津々で質問してしまいました。毎日8時間は楽器に触れているという金子先生の言葉に、大人も子どもも「さすが」「やっぱりそういう血のにじむような努力が必要なんだ」と納得。しかしそれに続く金子先生の言葉「でも楽器が大好きで遊びのような感覚なので、ストレスはないんです。」にはその道を極めるということの秘訣が隠されているような気がして、心に残る一言でした。

 児童代表が感謝の言葉を述べ、花束を贈り、さらにアカペラで校歌を歌って感謝を伝えました。その道の達人の奥義によって、日本文化の精神に触れる貴重な経験をしたカラチ日本人学校のみんな。日本にいてもなかなかこうした体験はできません。金子先生に心から感謝し、みんなでお帰りになるバスを見送ったのでした。金子先生をはじめ、このような機会を設けてくださったみなさま、本当にありがとうございました。