6月17日水曜日のカラチタイムは、PNCA(Pakistan National Council of the Arts)のオフィスにお邪魔して、パキスタンの伝統的な舞踊であるパキスタンダンス、パキスタンの伝統的な楽器、音楽に触れる体験学習を行いました。まず学校で、事前学習です。パキスタンの音楽文化について概要を学び、出発します。
PNCAのみなさんに元気にあいさつしたら、早速伝統音楽の演奏を聴かせていただきました。アコーディオンのような鍵盤楽器ハーモニウムと、二つの太鼓を組み合わせたタブラという打楽器の伴奏に合わせて、アシフ先生が歌います。演歌のような節回しと、6拍子から4拍子に変わる独特のリズムに、食い入るように見入る児童生徒たち。
次は15世紀のムガル帝国時代から伝わる舞踊。女性のダンサーが裾の長い衣装で踊ります。指の先、爪の先までなめらかに、意思を伝えるように動く繊細さと、細かくも力強いステップ。タブラだけのシンプルな伴奏。ゆっくり始まった曲は、徐々にスピードを上げていきます。踊りが終わると自然に拍手が起こりました。
次はシンド州の舞踊、「Ho Jamalo Dance」。戦いに向かう戦士たちが戦意を高める曲と演舞であるとのアシフ先生の言葉でした。日本チームも教員と保護者が参加し、ダンサーのみなさんと一緒に合計7人が輪になって、フォーメーションを変えながら踊ります。時に声を出したり、手をたたいたり。気持ちが高揚するような速いテンポで、踊り手も観客である子どもたちからも、自然に笑顔がこぼれます。
集中して見ていたからか、すごくお腹がすいてきたな・・・というところで休憩タイム。ジュースとスナックをごちそうになりました。遠慮なくいただきました。食べながらも感想を言い合ったり、スタッフのみなさんからいろいろと成り立ちなどについてうかがいます。
食べて一息ついたら、楽器を体験させていただきました。タブラ、ハーモニウム、フルートの周りに集まって、プレイヤーのみなさんに話を聞いたり、思い思いに演奏したり。それぞれの楽器の材質や特徴、プレイヤーの練習の様子なども聞くことができました。ハーモニウムは鍵盤を押せば音が出ます。タブラは叩けば音が出るのかと簡単に考えて叩いてみると、なんだか響きがなく、こもった音しか出ません。もっと難しいのはフルートです。どのように息を吹き込めばいいのか、みんなで悪戦苦闘してもなかなかきれいな音になりませんでした。
その後はタブラとのセッションで、日本チームからインド舞踊を披露していただきました。手先の動き、手首のしなやかな動き、首の動き、表情など、繊細な踊りです。手の甲をくるっと返して手のひらから指先へ、動きは体の末端まで波のように伝わっていきます。PNCAのみなさんからも拍手が起こりました。最後は質問コーナーです。疑問についてアシフ先生に聞いて、明らかにすることができました。聞くのはやっぱり緊張するけど、勇気を持って質問した子どもたちの表情からは充実感が垣間見られます。「アーブカボホットボホットシュークリア(本当にありがとうございました)」というあいさつをして、記念写真をとってお別れしました。
パキスタン国内で、舞踊など文化的なものは日本にくらべてかなり優先順位が低くなっているのが現状です。その中でパキスタンの音楽文化の振興に携わっているみなさんの、担い手としての誇りが伝わってきました。体験活動を通して文化交流、文化の保全についても学んだ一日でした。PNCAのみなさんに感謝申し上げます。ありがとうございました。